『ワイルド・スピード』の第9作『ジェットブレイク』は、家族の絆を軸にカーアクションを描き続けてきたシリーズに、新たなスケールと感情の深みをもたらした一作です。
2021年8月に日本公開された本作は、ドミニクと弟ジェイコブの過去、死んだはずのハンの復活、そして「車で宇宙に行く」という前代未聞の展開で、ファンを驚かせました。20年続くシリーズの集大成に向けた重要なピースとして、改めて整理しておきたい内容が詰まっています。
この記事では、『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』のあらすじ・見どころ・主要キャストについて、作品の魅力を要点に沿って整理しました。
『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』の基本情報
まず本作がシリーズのどこに位置する作品なのか、公開時期や制作陣の背景を押さえておくと、物語の意味がつかみやすくなります。
シリーズ第9作として2021年に公開
『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』(原題:F9)は、2021年6月にアメリカで、同年8月に日本で公開されました。監督を務めたのは、シリーズ3作目『TOKYO DRIFT』から6作目『EURO MISSION』まで手がけたジャスティン・リン。前作『ICE BREAK』から約4年ぶりのシリーズ復帰となり、脚本にも参加しています。
本作は2001年の第1作から数えて9作目にあたり、前作『ICE BREAK』で提示されたサイファーの脅威と、シリーズを通じて描かれてきた「家族の絆」というテーマが交差する重要な位置づけです。公開延期を経て劇場に届けられた本作は、世界興行収入で7億ドルを超えるヒットとなりました。
主演はヴィン・ディーゼル、脇を固める豪華キャスト
主人公ドミニク・トレットを演じるのは、シリーズを通じて主演を務めるヴィン・ディーゼルです。彼の妻レティにミシェル・ロドリゲス、ドミニクの妹ミアにジョーダナ・ブリュースターが扮し、タイリース・ギブソン(ローマン)、クリス・”リュダクリス”・ブリッジス(テズ)、ナタリー・エマニュエル(ラムジー)といったおなじみのメンバーも顔をそろえます。
さらに、第3作『TOKYO DRIFT』で死亡したとされていたハンを演じるサン・カンが復活を遂げ、新キャラクターとしてプロレスラーのジョン・シナがドミニクの弟ジェイコブ役で登場しました。前作『ICE BREAK』に引き続き、悪役サイファーをシャーリーズ・セロンが演じています。
上映時間と興行成績
本作の劇場公開版の上映時間は145分(約2時間23分)で、ディレクターズ・カット版は150分となっています。制作費は2億ドルから2億2500万ドルとされ、全世界の興行収入は約7億2600万ドルに達しました。日本では36億円を超える興行収入を記録しています。
シリーズが積み重ねてきたスケール感と観客の期待に応える内容であったことが、数字にも表れていると言えるでしょう。
公開年:2021年
原題:F9 / F9: The Fast Saga
監督:ジャスティン・リン
上映時間:145分(劇場版)
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ/東宝東和
- シリーズ9作目として、ジャスティン・リン監督が4年ぶりに復帰した作品
- ヴィン・ディーゼル、ミシェル・ロドリゲスらおなじみのキャストに加え、ジョン・シナが新たに参加
- 世界興行収入7億ドル超のヒットを記録し、シリーズの人気を再確認させた
- 最新情報はユニバーサル・ピクチャーズ公式サイトで確認できます
あらすじ|弟ジェイコブとの因縁が動き出す
本作のストーリーは、ドミニクとその弟ジェイコブの過去に深く関わっています。ここでは、物語の流れを押さえながら、シリーズ全体との関わりにも触れていきます。
平穏な暮らしから再び戦いの世界へ
前作『ICE BREAK』から5年後、ドミニクは妻レティと息子ブライアン(リトルB)とともに静かな生活を送っていました。しかしある日、かつての仲間ローマン、テズ、ラムジーが訪ねてきて、アメリカ政府の秘密工作員ミスター・ノーバディが乗る輸送機が南米モンテキントに墜落したという情報を伝えます。
機内には世界中のコンピュータや兵器を操る装置「アリエス」が積まれていました。ドミニクたちはノーバディからの救難信号を受け、装置の回収に向かいます。現地で回収に成功したかに見えましたが、突如現れた武装集団に奪われてしまいます。そのリーダーこそ、ドミニクの実弟ジェイコブでした。
父の死をめぐる兄弟の過去
1989年、ドミニクたちの父ジャック・トレットはストックカーレース中に事故死しました。ドミニクは刑務所に収監された際、事故車に細工がされていたことを知ります。そして最終点検を担当したのが弟ジェイコブだったことから、彼が父の死の原因だと責めたのです。
出所後、ドミニクはジェイコブとストリートレースで決着をつけ、「負けたほうが街から去る」という条件でジェイコブを追放しました。しかし真相は、父が八百長を持ちかけられて困窮し、ジェイコブに車への細工を頼んでいたというものでした。ジェイコブは父の秘密を守るために口を閉ざし、兄の誤解を受け入れたまま去ったのです。
ハンの生存とエルの存在
レティとミアは東京でハンと再会します。第3作『TOKYO DRIFT』で死んだとされていたハンは、実はミスター・ノーバディの手引きで死を偽装し、少女エルを守りながら潜伏していました。エルは「アリエス」開発者の娘であり、彼女のDNAが装置を起動させる鍵だったのです。
ハンが生き延びていた理由は、ノーバディから「アリエス」を盗み出す任務を与えられ、その過程でエルと出会い保護したからでした。ハンの死は、デッカード・ショウの襲撃を利用した偽装工作だったことが明かされます。
ファミリーは再結集し、ジェイコブとその協力者オットー、さらにサイファーが狙う「アリエス」を阻止するため、世界各地で激しい戦いを繰り広げます。
ドミニクとジェイコブの対立は、父の死にまつわる誤解が原因でした。ジェイコブは父から頼まれて車に細工をしましたが、結果的に大事故となり父を失います。ドミニクは真相を知らないまま弟を責め、追放しました。この過去が本作の感情的な軸となっています。
- 前作から5年後、ドミニクは家族と平穏に暮らしていたが、実弟ジェイコブの登場で再び戦いへ
- 父の死をめぐる誤解が兄弟の対立を生み、ジェイコブは長年その痛みを抱えていた
- ハンは死を偽装し、「アリエス」の鍵であるエルを守り続けていた
- 本作のあらすじは映画.com作品ページでも確認できます
見どころ|スケールアップしたアクションと家族の絆
『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』の魅力は、カーアクションの進化と、家族をめぐる感情の深まりが同時に描かれている点にあります。ここでは主な見どころを整理します。
超強力電磁石を使った破壊的カーアクション
本作で最も印象的なアクションの一つが、エディンバラでの電磁石アクションです。ジェイコブたちが用意した巨大な電磁石は、本来磁石につかない銀すら引き寄せる威力を持っています。この電磁石を積んだトラックが走り出すと、道路の車、通行人のスマートフォン、あらゆる金属製品が吸い寄せられ、街中が大混乱に陥ります。
このトラックを運転するのがラムジーで、彼女は免許を持っていないため、混乱の中での慌てぶりとコミカルなやり取りも見どころです。電磁石のスイッチが誤操作され、次々と車が引き寄せられる様子は、シリーズの中でもひときわ破天荒なシーンと言えるでしょう。
シリーズ初の宇宙アクション
「車で宇宙に行く」という前代未聞の展開も本作の大きな話題となりました。ショーン、トゥインキー、アールが開発したロケットエンジン付きの車に、ローマンとテズが乗り込み、人工衛星を破壊する任務に挑みます。
ジェット機の上から宇宙空間へと飛び出す場面は、現実離れしながらも『ワイルド・スピード』らしい大胆さに満ちています。宇宙でのふたりのコミカルなやり取りと、真剣に任務を果たす姿のコントラストが、観客を惹きつけました。シリーズがここまでスケールアップしたことに驚いたファンも多かったはずです。
ハン復活の衝撃と過去シリーズとのつながり
第3作『TOKYO DRIFT』で死んだとされていたハンの復活は、本作の大きなサプライズでした。ハンの死は第6作『EURO MISSION』のラストでデッカード・ショウの仕業だと明かされ、ファンの間では「#JusticeForHan(ハンに正義を)」という運動まで起きていました。
本作ではハンの死が偽装であったこと、ミスター・ノーバディの手引きで生き延びていたことが明かされます。ハンが東京でエルを守りながら潜伏していた理由、そしてデッカードの襲撃を利用した偽装工作の経緯が語られることで、シリーズ全体の時系列がつながる瞬間でもあります。
ドミニクとジェイコブの和解
物語のクライマックスでは、ドミニクとジェイコブが協力して装甲車をひっくり返すシーンがあります。この場面は、兄弟の対立が解消され、父の秘密と過去の誤解が明かされたことを象徴しています。
ドミニクはジェイコブに、「父は完璧ではなかったが、兄弟を愛していた」と語り、自分が第1作でブライアンからスープラを譲られたことで再起できたことに触れます。そして1968年式ダッジ・チャージャーのキーをジェイコブに託し、ミアとの抱擁を交わした後、ジェイコブは去っていきます。この和解の場面は、シリーズが大切にしてきた「家族の絆」を改めて確認させるものです。
| 見どころ | 内容 |
|---|---|
| 電磁石アクション | エディンバラでの破壊的なカーチェイス。金属を引き寄せる巨大電磁石が街中を巻き込む |
| 宇宙アクション | ローマンとテズがロケットエンジン付きの車で宇宙へ。人工衛星を破壊する任務を遂行 |
| ハン復活 | 死を偽装していたハンが東京で再登場。エルを守り続けていた理由が明かされる |
| 兄弟の和解 | ドミニクとジェイコブが父の秘密を共有し、過去の誤解を解く |
- 電磁石と宇宙アクションで、シリーズのスケール感が新たな次元に到達した
- ハンの復活は、ファンの声に応えるとともに、シリーズの時系列を整理する役割も果たした
- ドミニクとジェイコブの和解を通じて、「家族の絆」というテーマが再確認された
- シリーズの見どころ比較はシネマトゥデイの解説ページでも読めます
主要キャストと登場人物
本作には、シリーズを通じて活躍してきたメンバーと、新たに加わったキャラクターが登場します。ここでは主要な出演者を整理しました。
ドミニク・トレット(ヴィン・ディーゼル)
シリーズの主人公であり、ファミリーのリーダー。かつてはロサンゼルスでトラック強盗団を率いていましたが、現在は妻レティと息子リトルBとともに静かに暮らしています。本作では実弟ジェイコブとの因縁が描かれ、父の死をめぐる過去と向き合うことになります。
ヴィン・ディーゼルは第1作から主演を務め、シリーズの顔として不動の存在です。本作では青年期と幼少期のドミニクも登場しますが、幼少期を演じたのはディーゼルの実の息子ヴィンセント・シンクレアです。
ジェイコブ・トレット(ジョン・シナ)
ドミニクの実弟であり、本作で初めて存在が明かされた人物です。父の死の秘密を握っており、兄に誤解されたまま追放された過去を持ちます。運転技術と格闘能力は兄に引けを取らず、影の世界で活動してきました。本作ではオットーやサイファーと組み、「アリエス」を狙います。
演じるジョン・シナは現役プロレスラーであり、近年は『バンブルビー』や『ザ・スーサイド・スクワッド』など大作映画でも活躍しています。本作では、ヴィン・ディーゼルと対峙する迫力ある格闘シーンを披露しました。
ハン・ルー(サン・カン)
第3作『TOKYO DRIFT』で死んだとされていましたが、実は生き延びていたキャラクター。ミスター・ノーバディの依頼で「アリエス」の任務に関わり、エルを保護して東京で潜伏生活を送っていました。第6作『EURO MISSION』以来の再登場となり、トレードマークのロングヘアをショートカットに変えています。
演じるサン・カンは韓国系アメリカ人俳優で、ハン役はシリーズの中でも特に人気の高いキャラクターです。本作でのハン復活は、ファンからの熱い支持を受けてのものでした。
レティ・オルティス(ミシェル・ロドリゲス)
ドミニクの妻であり、血のつながらない息子リトルBを実の子のように大切にしています。運転技術と戦闘能力に優れ、本作ではバイクを使ったアクションも披露しました。ミシェル・ロドリゲスは第1作から出演し、シリーズを支える重要なキャストの一人です。
ミア・トレット(ジョーダナ・ブリュースター)
ドミニクの妹で、ブライアン・オコナーの妻。前作『ICE BREAK』には登場しませんでしたが、本作では兄ジェイコブの計画を阻止するため、レティに呼ばれて再びファミリーに合流します。運転技術が高く、戦闘シーンも見せました。ジョーダナ・ブリュースターはシリーズ第1作から出演しています。
その他の主要キャスト
ローマン・ピアース(タイリース・ギブソン)はブライアンの親友で、コメディ・リリーフ的な役割を担っています。テズ・パーカー(クリス・”リュダクリス”・ブリッジス)は電子機器に強く、ローマンと行動をともにします。ラムジー(ナタリー・エマニュエル)は凄腕ハッカーで、本作では無免許ながらトラックを運転する場面もあります。
悪役サイファーを演じるのはシャーリーズ・セロンで、前作に引き続き登場しました。また、ヘレン・ミレンがマグダレーン・ショウ役でカーアクションに挑戦し、華麗なドライビングを披露しています。
Q1. ブライアン役のポール・ウォーカーは登場しますか?
A1. ポール・ウォーカーは2013年に事故で亡くなったため、姿は映りません。ただし劇中でブライアンは家族と平穏に暮らしており、ミアがファミリーと任務を遂行する間、子どもたちの世話をしていることが語られます。ラストシーンでは、ブライアンの愛車である青い日産スカイラインGT-Rが登場し、シリーズへのリスペクトが示されました。
Q2. 『TOKYO DRIFT』のキャラクターは出演していますか?
A2. はい。ショーン・ボズウェル(ルーカス・ブラック)、トゥインキー(バウ・ワウ)、アール(ジェイソン・トビン)が登場します。彼らはドイツ・ケルンでロケットエンジン付きの車を開発しており、ローマンとテズに協力します。ハンとの再会シーンもあり、『TOKYO DRIFT』ファンには嬉しい展開となっています。
- ヴィン・ディーゼル、ミシェル・ロドリゲス、ジョーダナ・ブリュースターらおなじみのキャストが再結集
- ジョン・シナが新キャラクター・ジェイコブ役で参加し、ドミニクと対峙
- サン・カンがハン役で復活し、シリーズファンを沸かせた
- キャスト情報の詳細は映画.comや公式サイトで確認できます
『TOKYO DRIFT』との時系列とシリーズのつながり
本作を理解するうえで押さえておきたいのが、シリーズ全体の時系列です。とりわけ『TOKYO DRIFT』との関係は、ハンの復活を理解するうえで重要になります。
『TOKYO DRIFT』はシリーズ3作目だが時系列は後
『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』は2006年に公開されたシリーズ3作目ですが、物語の時系列としては第6作『EURO MISSION』の後に位置します。つまり、第4作『MAX』、第5作『MEGA MAX』、第6作『EURO MISSION』は、ハンが東京で事故に遭う前の出来事を描いているのです。
第6作のラストシーンで、ハンの事故がデッカード・ショウの仕業であることが判明し、第7作『SKY MISSION』ではドミニクたちがデッカードと対峙します。そして本作『ジェットブレイク』で、ハンの死が実は偽装であり、ミスター・ノーバディの計らいによって生き延びていたことが明かされました。
ハンの死と復活の経緯
ハンは『TOKYO DRIFT』で渋谷のスクランブル交差点近くでカークラッシュを起こし、炎上した車の運転席で絶命したとされていました。しかし本作では、ノーバディがハンを「アリエス」任務に起用し、その過程でデッカードの襲撃を利用して死を偽装したことが語られます。
具体的な偽装方法は劇中では詳しく説明されませんが、炎上する車をノーバディとハンが遠くから眺めている描写があることから、何らかの手品のようなトリックが使われたと考えられます。この展開は、シリーズの時系列を整理し直すきっかけともなりました。
シリーズ全体を振り返る意味
本作では、第1作で描かれたドミニクの父ジャックの死という原点に立ち返り、ドミニクとジェイコブの兄弟関係が掘り下げられています。また、ブライアンの愛車である青いスカイラインGT-Rがラストに登場することで、故ポール・ウォーカーへの敬意も示されました。
『ワイルド・スピード』シリーズは、単なるカーアクション映画ではなく、家族の絆と過去の因縁を丁寧に描いてきた作品群です。本作はその集大成に向けた重要なステップとして、シリーズ全体を振り返る意味を持っています。
公開順:1→2→3(TOKYO DRIFT)→4→5→6→7→8→9
物語の時系列:1→2→4→5→6→3(TOKYO DRIFT)→7→8→9
ハンの死は3作目で描かれましたが、4〜6作目はその前の物語です。本作9作目でハンの死が偽装だったことが明かされました。
- 『TOKYO DRIFT』は公開順では3作目だが、時系列では第6作の後に位置する
- ハンの死は偽装であり、ノーバディの手引きで生き延びていた
- 本作は第1作の原点に立ち返り、ドミニクの父の死とジェイコブとの因縁を描いた
- シリーズの時系列整理はWikipedia作品ページでも確認できます
まとめ
『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』は、シリーズ9作目にして、家族の絆とカーアクションのスケールを新たな高みへと引き上げた作品です。
まず第1作を観ておくと、ドミニクの父の死とジェイコブとの因縁がより深く理解できるでしょう。そして『TOKYO DRIFT』を確認しておけば、ハンの復活がどれほど驚きに満ちた展開だったかを実感できます。
シリーズは次作『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』(2023年公開)、そして最終章へと向かっていきます。本作で描かれた兄弟の和解、ハンの復活、そしてサイファーの生存は、今後の展開を予感させる重要なピースです。シリーズ完結に向けて、改めて『ジェットブレイク』を振り返っておくと、より深く楽しめるはずです。

