リオデジャネイロの夜、変装したスパイが男を一瞬で無力化する。観ている間「これ、めちゃくちゃカッコいいな」と思わずうなってしまう瞬間が、この映画には何度も訪れます。
2019年に公開されたアクション映画『チャーリーズ・エンジェル』は、1976年のアメリカのTVドラマを原点に持ち、映画シリーズとしては2000年・2003年に続く3作目にあたります。監督・脚本・出演を一人で兼ねたエリザベス・バンクスが、新世代の3人のエンジェルたちを軸に、スパイアクションとチームの絆を描いた作品です。日本では2020年2月21日に公開されました。
この記事では、作品の概要・あらすじ・見どころ・主要キャストについて、複数の公開資料をもとに整理しています。「観ようか迷っている」「どんな映画か知りたい」という方のお役に立てれば幸いです。
チャーリーズ・エンジェル2019はどんな映画?シリーズの位置づけ
「チャーリーズ・エンジェル 2019」と調べる人の多くは、過去作との違いや、リブートなのか続編なのかを気にしていることが多いようです。まずはこの作品の立ち位置を整理しておきましょう。
1976年から続くフランチャイズの3作目
『チャーリーズ・エンジェル』の原点は、1976年〜1981年に放映されたアメリカのTVドラマです。謎の雇用主”チャーリー”の指示のもと、女性3人組のエージェントが事件を解決するという設定が、当時多くの視聴者を惹きつけました。その後、2000年・2003年に映画版が製作され、キャメロン・ディアス、ドリュー・バリモア、ルーシー・リューという豪華キャストで大ヒット。そして2019年、新たなキャスト・スタッフで作られた本作がシリーズの3作目に位置します。
日本語版Wikipediaや公式資料をもとに確認したところ、本作はリブート(一から作り直し)ではなく、過去のTVシリーズと劇場映画2作の世界観を引き継ぐ”続編”として位置づけられています。具体的には、タウンゼント探偵社がその後も活動を続け、世界各地に支部を持つ大規模な組織に成長している、という設定のうえに物語が展開します。
ここで注目したいのが「ボスレー」という役職です。過去作では1名だったこの”チャーリーの片腕”的なポジションが、今作では複数名にわたって描かれ、組織の規模感を象徴する要素になっています。
リブートではなく「続編」として作られた理由
2019年4月に公式で明かされた情報によると、本作はかつての作品で起きた出来事を前提として話が進む”続編”という扱いです。2000年代の映画版で製作・出演を担ったドリュー・バリモアが本作ではエグゼクティブ・プロデューサーとして名を連ねているのも、シリーズとの連続性を意識した人選と見ることができます。
過去作に登場したケリー・ギャレット(ジャクリーン・スミス)がミッドクレジットシーンに登場するなど、長年のシリーズファンに向けた仕掛けも盛り込まれています。ただ、ストーリーそのものは前作の知識がなくても十分に楽しめる作りになっているため、シリーズ未体験の方でも入りやすい構成になっています。
エリザベス・バンクスが監督・脚本・出演を兼務
本作の大きな特徴のひとつが、エリザベス・バンクスという人物の存在です。彼女は監督・脚本・製作に加え、エンジェルを束ねる上司キャラ「ボスレー342/レベッカ」役として出演もしています。映画のメガホンを握るのは『ピッチ・パーフェクト2』(2015年)に続いて2作目となります。
エリザベス・バンクスは公式インタビューで「女性が活躍する大型アクション映画を作りたかった。フェミニスト宣言ではなく、単純にアクション映画として楽しめるものを目指した」という趣旨の発言をしており(ニューヨーク・タイムズのインタビューより)、性別を問わず楽しめるエンターテインメントとしての志向が作品全体に通じています。撮影監督には『ベイビー・ドライバー』で知られるビル・ポープを迎え、映像面でのクオリティも高く評価されています。
チャーリーズ・エンジェル2019のあらすじ(中盤まで)
シリーズの背景を押さえたところで、物語の中身を見ていきましょう。以下は中盤までの展開をまとめたものです。結末は伏せていますが、ミッションが徐々に広がっていく流れは十分にお伝えできると思います。
冒頭:リオデジャネイロとハンブルクで始まる二つの物語
物語の幕開けはリオデジャネイロ。サビーナとジェーンの2人は、チャーリー・タウンゼント社のエージェントとして活動し、密輸商人のジョニー・スミス拘束というミッションを難なく成功させます。その場にいたのは、最古参の上司・ジョン・ボスレー。彼はこの仕事を最後に引退することになっています。
一方、ハンブルクでは別のドラマが進行中です。テクノロジー企業でエンジニアとして働くエレーナ・ハフリンは、自身が開発に携わった次世代エネルギー装置「カリスト」に重大な欠陥があることを発見します。使い方を誤ると脳に深刻なダメージを与える危険性があるにもかかわらず、上司のフレミングはその事実を握りつぶそうとします。正規のルートで動けないと判断したエレーナは、タウンゼント探偵社に内部告発の協力を求めることを決意します。
カフェでの事件とエレーナの巻き込まれ

エレーナはハンブルクのカフェで探偵社の担当者・エドガー・ボスレーと接触します。証拠となるUSBメモリを渡そうとしたその瞬間、謎の暗殺者「ホダック」が急襲。ジェーンはカフェ店員に変装して待機しており、サビーナはビル屋上から監視していましたが、すぐさまカーチェイスに発展します。
激しい追走の末、川へ転落した車の中でエドガー・ボスレーは命を落とし、証拠のUSBも失われてしまいます。ジェーンはエレーナを救出しますが、2人は完全に手がかりを失った状態でスタートラインに立ち返ることになります。ここからレベッカ・ボスレーが後任の上司として登場し、残り6台のカリスト試作品を回収するという新たなミッションが始まります。
潜入作戦とイスタンブールへの追跡
3人(サビーナ、ジェーン、エレーナ)は企業のビルに潜入し、カリストを確保しようとします。ところが試作品はすでにフレミングによって持ち出された後でした。変装や陽動作戦を駆使してその場を切り抜けた3人は、フレミングの足取りを追うためにイスタンブールへ向かいます。
イスタンブールのシーンでは、競馬場や採石場といった非日常的な舞台が次々と登場します。そこで明らかになるのが、この件の背後に複数の思惑が絡み合っているという事実です。「誰が本当の敵なのか」という問いが、物語の中盤から観客の頭の中に積み重なっていきます。後半での展開を面白く感じるためにも、このあたりの伏線に注目しながら観てみるとよいでしょう。
この映画の見どころ|アクション・チームの絆・現代的なメッセージ
あらすじを大まかに追ったところで、次は「何がこの映画を面白くしているのか」という観点で整理してみましょう。過去作との違いや、本作ならではの魅力についても触れていきます。
変装・潜入・格闘のテンポ感がクール
チャーリーズ・エンジェルといえば、変装と潜入捜査が作品の看板ともいえる要素です。本作でもその伝統は健在で、店員・セキュリティスタッフ・パーティゲストなど、様々な場面で3人が姿を変えながらミッションを進めます。過去作がコスプレ的な”バカバカしさ”を売りにしていたのに対し、今作はよりファッショナブルでスタイリッシュな路線に振り切っています。
格闘シーンも見応えがあります。特にジェーン(エラ・バリンスカ)は元MI6という設定を生かしたハードなアクションが多く、本人が相当なトレーニングを積んで撮影に臨んだことが画面から伝わってきます。また、格闘後の登場人物の体にアザが残っているような演出も盛り込まれており、リアリティに対する監督のこだわりが感じられます。
3人のキャラクターの対比がチームの面白さを作る
この映画を楽しむ上でいちばんの軸になるのが、3人のキャラクターの違いです。サビーナ(クリステン・スチュワート)は変装のプロで、飄々とした言動が印象的。ジェーン(エラ・バリンスカ)は無駄のない動きと冷静な判断が持ち味。そしてエレーナ(ナオミ・スコット)は天才エンジニアながらスパイの素人という立場で、3人の中では”新人”のポジションを担います。
ミッションの合間に3人がリラックスして過ごすシーンや、言い合いをしながらも結局は協力し合う場面など、チームとしての絆が育まれる過程が丁寧に描かれています。「最初から最強の3人組が揃っている」という過去作とは違う、”チーム結成のプロセス”が今作の温度感を作っています。実際に観た人からも「3人の掛け合いが楽しかった」という声が多く見られました。
女性のエンパワーメントというテーマ
本作には、スパイアクションとしての娯楽性の奥に、現代社会への眼差しが感じられます。エレーナが抱える状況、つまり「正当に評価されない優秀な女性」という設定は、多くの人が日常の中で感じているリアルな問題と地続きです。オープニングの映像では、世界中のさまざまな女性が短いカットで映し出され、「誰でもチャーリーズ・エンジェルになれる」というメッセージを直接的に打ち出しています。
また、物語の核心に「女性が女性を裏切らない」というテーマが一貫して流れています。敵も裏切り者も常に男性側であり、女性キャラクター同士の連帯が最終的な解決の軸になる構造は、監督のエリザベス・バンクスが意識的に作り込んだ部分と見ることができます。メッセージ性が強い一方で、その描き方は説教的ではなく、あくまでエンタメの文脈に収まっているため、難しく考えずに楽しめます。
主要キャストと登場人物の紹介
見どころの多い本作ですが、登場人物の役割を事前に整理しておくと物語がより追いやすくなります。ここでは主要キャストをまとめておきます。なお、日本語吹替キャストについては公式サイトや映倫区分などで最新情報をご確認ください。
3人のエンジェル

サビーナ・ウィルソンを演じるのはクリステン・スチュワートです。ブロンドの長い髪からショートにスタイルチェンジするシーンが冒頭の見せ場のひとつで、変装と話術を武器にするエージェントです。『トワイライト』シリーズで世界的に知られる彼女が、本作ではユーモラスでどこか掴みどころのないキャラクターを生き生きと演じており、過去作の陰のあるイメージとのギャップが新鮮に映ります。
ジェーン・カノを演じるのはエラ・バリンスカです。英国出身の新星で、本作が大きなステップとなりました。元MI6諜報員という設定のもと、3人の中で最もハードなアクションを担い、クールで寡黙なキャラクターとして物語を引き締めます。ナオミ・スコットが演じるエレーナ・ハフリンはカリストの開発者で、スパイの世界に不意に巻き込まれる一般人という立場から出発します。『アラジン』(2019年)のジャスミン役で広く知られる彼女が、今作では驚きと混乱をリアルに表現しながら成長していく姿を見せています。
・サビーナ(クリステン・スチュワート):変装のプロ、飄々とした毒舌キャラ
・ジェーン(エラ・バリンスカ):元MI6、クールで格闘が得意
・エレーナ(ナオミ・スコット):天才エンジニア、スパイの新人として参加
ボスレーたちと敵役
「ボスレー」という役職は今作で複数人に拡張されています。最古参のジョン・ボスレーをパトリック・スチュワートが演じ、エドガー・ボスレーにはジャイモン・フンスー、レベッカ・ボスレーにはエリザベス・バンクス自身が扮しています。3人がそれぞれ異なる性格を持ち、組織の大きさを体現しています。
悪役側で印象的なのが暗殺者ホダックで、ジョナサン・タッカーが演じています。セリフはほとんどないながら、不気味な存在感でシリーズ全体の脅威を担います。エレーナの雇用主アレクサンダー・ブロックにはサム・クラフリン、エレーナの同僚ラングストンにはノア・センティネオが配役されています。
豪華なカメオ出演陣
本作にはいくつかのカメオ出演があり、シリーズファンには見逃せない仕掛けになっています。特にミッドクレジットシーンには1976年のTVシリーズに出演したジャクリーン・スミスがケリー・ギャレット役で登場します。また、ヘイリー・スタインフェルド、ラバーン・コックス、ロンダ・ラウジーといった著名人もわずかに顔を見せます。チャーリーの声はロバート・クロットワーシーが担当し(日本語版では平林剛)、組織の設定を過去作から丁寧に引き継いでいます。
Q1. 過去の映画版を観ていなくても楽しめますか?
A1. 楽しめます。物語の設定は過去作と地続きですが、本作だけで内容が完結しているため、初めて触れる方でも十分入り込めます。
Q2. 日本公開はいつでしたか?
A2. 日本では2020年2月21日に公開されました(Wikipedia・映画.com等で確認)。
映倫区分・制作背景・音楽などの補足情報
登場人物を把握したところで、観るうえで役立つ補足情報をまとめておきます。
映倫区分と対象層
映画倫理機構(映倫)の公式情報によると、本作の映倫区分はGとされており(MOVIE WALKER PRESSなどの公開情報でも同区分が確認できます)、年齢制限なく鑑賞できる作品です。激しい格闘シーンや爆発などはあるものの、R指定に相当するような過激な描写は含まれていないと判断されています。家族連れや若い世代でも観やすい内容ですが、アクションシーンの激しさについては映倫の公式ページでご確認ください。
撮影地と制作の背景
本作の撮影は2018年9月に開始され、12月に完了しています。ロケ地はドイツ・ハンブルクのエルプフィルハーモニー(ハンブルク・エルベ川沿いの大型コンサートホール)、トルコ・イスタンブールのスパイス・バザールや競馬場など、ヨーロッパと中東の複数都市にまたがっています。多彩なロケーションが物語の緊張感と視覚的な豊かさを支えており、観ていると「ああ、ここはイスタンブールか」と場面転換の楽しさも感じられます。
製作費は公開資料によると約4,800万ドルとされており、2000年版(約9,300万ドル)の約半分です。限られた予算の中で、監督が撮影監督ビル・ポープとともにどのように映像的な密度を確保したか、という視点でも楽しめます。
主題歌「Don’t Call Me Angel」について
本作のサウンドトラックで大きな話題を集めたのが、アリアナ・グランデ、マイリー・サイラス、ラナ・デル・レイの3人によるコラボシングル「Don’t Call Me Angel」です。2019年9月13日に先行リリースされ、映画本編のプロモーションを大きく牽引しました。3人はそれぞれソロ活動でも世界的に活躍するアーティストで、映画のテーマである”自立した女性”というメッセージと親和性の高いコラボレーションとして注目を集めました。楽曲自体も映画の世界観にマッチした仕上がりで、本編と合わせて聴いてみるとより楽しめるでしょう。
- 作品のジャンル・区分:アクション映画・映倫区分G(年齢制限なし)。詳細は映画倫理機構(映倫)の公式ページでご確認ください。
- 配信情報:配信プラットフォームや料金は変動することがあるため、最新の状況は各配信サービスの公式サイトでご確認ください。
- シリーズ関連:過去作の『チャーリーズ・エンジェル』(2000年)・『フルスロットル』(2003年)も国内で鑑賞できる機会があります。最新情報は各配信サービスでご確認ください。
- 音楽情報:主題歌「Don’t Call Me Angel」(アリアナ・グランデ、マイリー・サイラス、ラナ・デル・レイ)はサウンドトラック収録。
- 興行収入:全世界で約7,300万ドルを記録(Box Office Mojo・2020年2月時点の公開データより)。
まとめ
『チャーリーズ・エンジェル』(2019年)は、シリーズの歴史を受け継ぎながらも”新しい世代の女性アクション”として作り直された続編です。スタイリッシュな変装・格闘・潜入に加え、3人のキャラクターの対比とチームの絆が物語の核をなしており、単純なアクション映画の枠を少し超えたメッセージが随所に織り込まれています。
まずはオープニングシーンから観てみてください。リオデジャネイロの夜に繰り広げられる鮮やかなアクションで、この映画がどういうテイストなのかが一瞬で伝わってきます。主題歌「Don’t Call Me Angel」を事前に聴いておくのもおすすめです。
過去作を知らなくても、アクション映画に詳しくなくても、十分に楽しめる作品です。ぜひ一度スクリーンを通して、3人のエンジェルたちの活躍を追いかけてみてください。

